気ままな一日辞書と共に
旺文社国語辞典第10版
学生の頃に買った辞書なのだが一度も開いたこと無かったこの辞書。
「これを全部読んだら頭よくなるんじゃね」
そんなことをふと思った筆者。
そして挑戦が今始まる。
これは1日かけて辞書を読んだ男の物語である。
1550ページもあるこの辞書
普段小説を読む筆者にはそう多く無いページ数なのである。
AM7:00
彼の朝は早い。
普段ならニュースを観ながらダラダラと過ごす朝なのだが今日の彼は違う。
昨夜決意した、辞書を一日かけて読むというプロジェクトがあるからだ。
「さあ、読むか」と手をかける
最初の文字は「亜」
「へー、アフリカって漢字で書くと阿弗利加なんだ」
そんなことを思いながらも黙々とひたすら文字を読んでいく。
AM8:00
なんとか80ページ位まで読むことが出来たがこのままのペースでは読み終えるまでに20時間かかる。
読むペースを速める。
AM9:00
この時点で200ページ
徐々に飽きてくる。
AM10:00
遅めの朝食をとるため一時休憩を視野に入れるが明らかに終わらなさそうなので読みながら食べる。
しかし、この行為がアクシデントを招く。
辞書を片手にお味噌汁をあさげのCMばりに豪快に飲んでいたところ舌を火傷し気持ちが萎える。
この時点で250ページ程。
AM11:00
このあたりで
手がかさついて思うようにページをめくれない。
「読み終わらねぇよ!」
「目がいてぇよ!」
なんて一人で愚痴をこぼしながらも挑戦を続ける。
この時点で330ページ程まで読み終えた。
AM12:00
ひたすら読む。
Pm1:00
ひたすら読む。
PM2:00
同上。
PM3:00
やっとのことで600ページあたりまで読むがほぼ気力がない。
PM4:00
もうこのままでは終わらないと思い必殺技流し読みを使う。
PM5:00
ここまでで900ページを読むが目が疲れて文字がほぼ読み取れない。
目がおかしくなっているのだ。
PM6:00
頭が痛くなってくる。
もう辞書なんか読むかと心に決める。
PM7:00
頭の中で「プロフェッショナル」のテーマが流れてくる。
もう少しだ。もう少しだ。
PM8:00
やっと読み終えた。
そして、ここで達成感とある1つの言葉が頭に浮かぶ。
頭よくなるどころか何の言葉も覚えてねぇ
そりゃ無理もない。
自己流の流し読みに回らない頭のせいで記憶できるはずないのだ。
そしてこの挑戦をして何かを得るというよりは失うものが多すぎた。
そして、筆者はもうこのような馬鹿げたことはやらないと心に決めるのであった。