大丈夫。痛くないから。つまむだけだからさ
皆さんは水いぼというものをご存じでしょうか。
主にプールなどで感染する皮膚や粘膜のウイルス感染症。
皆さんも一度は感染したことあるのではないでしょうか。
あの悪魔のできものに。
なぜ悪魔のできものと僕が呼んでいるかというと、水いぼの治療法である。
その治療法とは
ピンセットで血が出るほどつまむという拷問にも近い治療法。
小学生時代
スイミングスクールに通い、女性コーチの胸を見ることだけに勤しんでいたあの頃の話である。
ある日、プール終わりの楽しみであるセブンティーンアイスを食べるという事を考えながら濡れた身体を拭いていた時
脇の下にある異変を感じた。
触るとポツポツと無数のできものが出来ている。
「まぁ気にしなくていいか」
とその時は思ったのだが、日が経つごとにそのポツポツは次第に勢力を増していき脇から二の腕にまで侵略していった。
「もしかしたらこのポツポツに身体を乗っ取られるのではないか」
そう感じた僕は母に相談することにした。
「あぁ水いぼね。お医者さんで取ってもらいましょ」
その言葉に僕は少し安堵した。
だがここからが悪夢の始まりという事を当時の僕はまだ知らないのであった・・・
あくる日、母に連れられ近所の診療所へ。
この診療所にお尻にトゲが刺さって来ることをあの頃の僕はまだ知る由もない。
空いてるのか、すぐに診察室へ通され脇を診察される
「すぐに取っちゃおうか」
医者はそんなことを言い、キラリと光るピンセットをおもむろに僕の脇にできた侵略者へと近付ける。
今でもはっきり覚えている言葉がある。
そう。
「大丈夫。痛くないから。つまむだけだからさ」
この言葉の30秒後には大人は嘘つきとわかり、その後彼の泣き叫ぶ声が診療室にひびきわたるのであった。