フリー素材で物語を作ったが絶望的になった
あの頃いつも三人でいた
毎日遅くまで遊んで親に怒られたっけ。
でも、その幸せも音を立てて崩れた。
木登りのタツこと山村竜彦が亡くなったのだ。
それからというもの、チヨちゃんは変わってしまった。
チヨちゃんのママが言うにはおかしくなってしまったらしい。
「私にしか見えない友達がいるの」
毎日のようにこんなことを言うようになったと僕は人づてに聞いた。
そしてある日を境にチヨちゃんは姿を消した。
これも人づてなのだがどこか遠い親戚に預けられたらしい。
そこから僕は引きこもるようになった。
中学校も高校もろくに行かず引きこもる事9年。
僕はいつの間にか20歳になっていた。
そしてある日、僕はネットでとある女性に出会った。
一か月間毎日メールした。
僕はいつの間にかその人の事が好きになっていた。
あるとき
「ねぇねぇ社会復帰の第一段階として一緒に働いてみない?」
そう言われ、その子に夢中だった僕は二つ返事をし翌日から働くことにした。
外に出るのなんて久しぶりだった。
だが「やっと心を寄せるあの子に会えるんだ」
僕はそのことで頭がいっぱいだった。
そして待ち合わせ場所に着くと想像していた何倍も綺麗な女性が僕の目の前に立っていたのだった。
本当はゆっくりお茶をしたかったのだがすぐに仕事の話をしたいとの事でお洒落なテラス席があるカフェへと向かった。
仕事とは身体にいいサプリやらを色んな人に伝えるだけの簡単な仕事だった。
「人に伝える前に本当にいいか自分でも試してみて」
そう言われ、本当ならば10万円するサプリを6万円で売って貰えた。
僕は本当にラッキーな男だと心から思った。
そして次の日から僕の仕事が始まった。
まずは親戚から営業をかけた。
だが、やはり営業は難しい。
来る日も来る日も僕は昔からの知り合いやネットで出会った人たちにサプリの良さを伝えた。
だがいつになっても売れないのだ。
それどころか・・・
僕の周りからいつの間にか人が離れていった。
従兄弟もネットで引きこもり当初から知り合った友人もみんな僕から距離を置いたのだ。
そして僕はまた一人になった。
あの頃の僕。
あの頃の僕が今の僕を見たらなんて言うだろうか。
エンド